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ESGニュース2019年12月

▼【1】今月のESGニュース


<大きく変わる有価証券報告書の開示レベル>


2019年1月31日に「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」が公布・施行され、

有価証券報告書の記載内容について改正が行われました。

今後は有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「事業等のリスク」

「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」などの記述情報について、

より充実した開示が求められることとなります。(2020年3月31日に終了する事業年度より適用)


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・経営方針・経営戦略等について、企業構造、事業を行う市場の状況、競合他社との競争優位性、

  主要製品・サービスの内容、顧客基盤、販売網等に関する経営者の認識の説明を含めた記載

・事業等のリスクについて、顕在化する可能性の程度や時期、リスクの事業に与える影響の内容、

  リスクへの対応策の説明

・会計上の見積もり及び見積もりに用いた仮定のうち、重要なものについて、

  当該見積もり及び当該仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響等に関する経営者の認識
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…簡単に言うと…

今までのような「我が国の経済は…」とか、「経常利益がXX円減り…」とか、

「顧客のニーズの変化」、「法令変更のリスク」、「為替の変動リスク」といった

一般的なリスクの羅列といった紋切り型の記述では不十分ということです。

そして大前提として、有価証券報告書は経理や経営企画が準備したものを取締役会で承認する

といったっものではなく、経営方針、戦略、事業等のリスクに関し

「取締役会や経営会議の議論を反映することが求められ」ています

また、ESG情報に関しても、「ひな型的な記述や具体性を欠いた記述となっており付加価値に乏しい」

(コーポレートガバナンスコード基本原則3の考え方より)と指摘されており、

リスク分析を踏まえたより充実した開示が求められていることは当然のことです。

CO2や水の使用量といっしょに女性の管理職割合が突如として脈絡もなく登場するというのは

「企業価値に関する有益な情報」とは言えないということです。





※ESGとは

  E ⇒ Environment 環境
  S  ⇒ Social 雇用環境等の社会
  G  ⇒ Governanceガバナンスの頭文字、

 企業の成長戦略のキーワードです。
 
 
▼【2】のだぶちょーの小ネタ


・TCFDとは?


The FSB Task Force on Climate-related Financial Disclosure TCFD(https://www.fsb-tcfd.org/

2016年に金融システムの安定化を図る国際的組織、金融安定理事会(FSB)によって設立された

「気候変動関連財務情報開示タスクフォース」で、委員長はマイケル・ブルムバーグ氏。

パリ協定により、企業はその環境戦略の変化を求められており、これはリスクでもあり、

チャンスでもあるはずです。

よって、投資家にとっても各企業の気候変動に対する戦略は重要な意思決定の要素となります。

情報提供の無いままに投資してしまうと、その投資が棄損する可能性があり、

ひいては世界の金融そのものの不安定化を招く恐れすらあるのです

TCFDは賛同企業に対して、資金の出し手が有効な投資の意思決定ができるように、

自社の財務に影響する気候関連情報を自発的に開示することを求めています。

2019年9月時点で、898社の企業や機関が賛同しています。

日本でも200社に近い企業・機関が賛同しているので、有価証券報告書で

環境関連戦略に関する記載を充実させる企業が出てくることになると思われます。

 

2019/12/16