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有給休暇その2

こんにちは! ラッパー社労士の上野です。

昨年からやっている受託公務(相談員)

の相談件数が早くも1,000件を超えまして

これは驚異的な速さです。

1件ずつ丁寧に対応しているのですが

もうそんなになったかー」って感じですねー。

今回の話題も前回に引き続き「年次有給休暇」に

まつわるアレコレです。

有給休暇っていつ申請すれば良いのでしょうか?

 前日まで? 1週間前? 休んだあとでもOK?

実はこれは社労士会で就業規則作成講座の講師を

やっている私に新米社労士受講生から結構多い質問

でもあります。


労働基準法第39条を見ると申請の時期については

何の記載もありません。じゃあ事後でもOKね!

かと言うとそうではない。

第4項に請求時季(時期じゃない)についての記載があり、

基本的には労働者の請求する時季に与えなければならない

(労働者側の時季指定権)が事業の正常な運営を

妨げる場合には会社がこれを変更できる(使用者側の時季変更権)

って書いてあります。

てことは正常な運営を妨げるかそうでないか考える時間が

会社にあるって事ですから、

やっぱり事前じゃなきゃダメって事になる訳です。


じゃあ何日前か。

色んな就業規則を拝見して一番多い例は「前日までに」。

次が「事前に」。

中には「1週間前」とか「1か月前までに」なんてのも!

この辺になるともはや完全に民事のお話しなのですが、

民法90条に「公序良俗」ってのがありまして、

お互いに公の秩序と善良な風俗を守って生活して

いきましょうやって意味ですが、

「1か月前」なんて事がまかり通ってしまうと、

おちおち有給を申請できないし取得もできなくなりますよね。

会社が「就業規則に定めて周知してある」って言っても、

モメて裁判で争うと「公序良俗に反する」ってんで

無効になる事が多いようです。


要するに、常識的な線で「前日まで」あるいは長くとも

「1週間前まで」ってのがボーダー(ギリギリの境目)でしょう。


それでは、いくら事前だからと言って他の事情も顧みず

毎回毎回1日前、あるいは当日の朝に

「有給取得に理由なんていらないでしょ!?」

ってお顔で電話してくる社員さんの扱いは?


確かに理由はいらないし事前ならば良い訳ですが、

公序良俗は社員側にも守る義務があるのですから、

こういった事が頻回に亘ると

やはり「権利の濫用」って事になります。


就業規則(服務規律)に「相互の和を尊び」って理念を謳って、

会社と社員の双方が秩序維持に努める義務を

明記してある場合であればなおさら、

社員同士お互いに気を遣い合う事は明白なのですから、

懲戒や制裁の対象にはならないにしろ

人事査定上のポイントになってくるというのが常識的な解釈です。


基本は前日までの書類による届け出だけど、

火急の際には例外も認めるってルールが明記され

周知されていれば、こういった問題はかなり少なくなります。


またこういった事は採用直後やコンプライアンスの

研修の際にも取り入れて、組織秩序の維持といった観点での

公序良俗への理解を深めておくと良いと思いますよ。


今回はこのあたりで。。。

次回は制裁(懲戒)処分についてお話ししましょう。

ラッパー社労士でした。
 
 
 

 

2018/01/22